ハーフはーふ
← half-blood
「半分」という意味だった「ハーフ」は、こぼれて人を指す言葉にもなった。
- 元の言葉
- half-blood
- こぼれた部分
- ハーフ
- 種類
- 部分抽出 / 単独使用 / 意味変化 / 意味拡張
- 現在の意味
- 親の一方が外国出身の人、試合の前半・後半、ハーフバック、ゴルフの9ホール、半分
- 信頼度
- 有力
意味の変化
- half(半分)
- half-blood・ハーフバックなどの複合語
- 「ハーフ」が独立
- 文脈ごとに別のもの
半分 → 人・試合の区切り・ポジションなど
何からこぼれた?
「ハーフ」は、half を前半にもつ複数の語からこぼれた言葉です。精選版 日本国語大辞典は、人を指す「ハーフ」を英語 half-blood の略とし、スポーツでは「ハーフバックのこと」も載せています。デジタル大辞泉も「『ハーフバック』の略」を挙げています。
元々どういう意味だった?
英語 half は「半分」「二分の一」という意味です。精選版 日本国語大辞典によると、この意味の「ハーフ」は『外来語辞典』(1914)に載っており、「ハーフサイズ」のように他の外来語とともに語素的に用いるとしています。
いつ独立した?
精選版 日本国語大辞典は、ゴルフの9ホールの意味で横光利一『家族会議』(1935)の「ハーフだけ廻りませう」を、人を指す意味で畑山博『いつか汽笛を鳴らして』(1972)を初出の実例に挙げています。現代ビジネスの記事で下地ローレンス吉孝さんは、人を指す「ハーフ」が使われ始めたのは歴史学や社会学では1970年ごろといわれている、と書いています。
意味は変わった?
「半分」という量を表す語が、こぼれて人やポジション、試合の区切りなど、文脈ごとに別のものを指すようになりました。デジタル大辞泉は、人を指す用法を「日本語での用法」とし、英語では mixed-blood、mixed-nationalities などというと補足しています。田口ローレンス吉孝さんの論文(2017)は、1970〜80年代に、それまでの「混血児」に代わって「ハーフ」の言説が現れたと整理しています。
今はどう使われる?
サッカーやラグビーの「45分ハーフ」、ゴルフの「ハーフ」など、スポーツでは今もふつうに使われます。人を指す「ハーフ」について、デジタル大辞泉は「使う相手・状況に注意が必要な言葉」としています。下地さんの記事も、差別用語と受け取られる場合も肯定的な意味で使われる場合もあり、「ダブル」という呼び方にも受け止め方の違いがあるとして、本人たちが自らを語る言葉を大切にしたいと書いています。
なぜ定着した?
下地さんの記事は、テレビで人気を集めたグループ「ゴールデン・ハーフ」が、日常語になるきっかけだったといわれていると紹介しています。スポーツの意味については、「ハーフ〜」で始まる長い用語が多く、前半だけで通じる場面が多かったと考えられます。
元の意味と今の意味
英語 half は「半分」「二分の一」。日本語でも「ハーフサイズ」「ハーフボトル」のように、ほかの外来語について「半分の」を表す。複合語の中では、前半で量や位置を表す部分だった。
- 親の一方が外国出身の人日本語独自の用法。使う相手や状況に注意が必要とされる。
- 試合の前半・後半サッカーやラグビーで「45分ハーフ」など。
- ハーフバックラグビーなどのポジション名として。
- ゴルフの9ホール1ラウンドの半分。
- 半分本来の意味。「ハーフサイズ」など、複合語の中で使われる。
タイムライン
- 1914年精選版 日本国語大辞典は、「半分」の意味の「ハーフ」が『外来語辞典』(1914)に載っていることを示す。
- 1935年精選版 日本国語大辞典は、横光利一『家族会議』(1935)の「ハーフだけ廻りませう」を、ゴルフの意味の初出の実例として挙げる。
- 1970年代人を指す「ハーフ」が一般に使われ始めたのは1970年ごろとされる。田口(2017)は、1970〜80年代に「混血児」に代わって「ハーフ」の言説が現れたと整理している。
- 1972年精選版 日本国語大辞典は、畑山博『いつか汽笛を鳴らして』(1972)を、half-blood の略としての「ハーフ」の初出の実例として挙げる。
用例
ハーフだけ廻りませう
書籍・ゴルフの9ホール前半のハーフを1点リードで折り返した。
作例・試合の前半・後半ランチはハーフサイズにした。
作例・半分
関連するこぼれことば
出典
- 「ハーフ」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)コトバンク(小学館)(2026-10-06 閲覧)
- 戦後日本社会の「混血」「ハーフ」をめぐる言説編成と社会的帰結:人種編成論と節合概念の批判的援用(社会学評論 68巻2号 p.213-229)田口ローレンス吉孝、日本社会学会、2017(2026-10-06 閲覧)
- 「日本人」はいつまで「単一民族」として語られるのか下地ローレンス吉孝、現代ビジネス(講談社)、2018-09-29(2026-10-06 閲覧)