お冷おひや
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宮中の女性が上品に「水」を言い換えた「おひやし」は、こぼれて飲食店のテーブルに置かれる一杯になった。
- 元の言葉
- お冷やし
- こぼれた部分
- お冷や
- 種類
- 部分抽出 / 単独使用 / 意味変化 / 意味縮小
- 現在の意味
- 飲食店で出される水、冷たい飲み水、冷えた御飯
- 信頼度
- 諸説あり
意味の変化
- 女房詞「おひやし」(水)
- 「おひや」が独立
- 丁寧な言い方として一般に広がる
- 飲食店で出される水
水を上品に言う女房詞 → 飲食店で出される水
何からこぼれた?
精選版 日本国語大辞典は「おひや(御冷)」を、女房詞「おひやし(御冷)」の略としています。末尾の「し」が落ち、前半の「おひや」だけが残った形です。ただしデジタル大辞泉は、「冷や」を「冷や水」の略とし、その例として「お冷や」を挙げています。「おひやし」の前半なのか、「冷や水」の前半に「お」が付いたのか、辞書によって説明が分かれています。
元々どういう意味だった?
精選版 日本国語大辞典によれば、「おひやし」は水、特に飲み水を指す女房詞で、16世紀前半ごろの『大上臈御名之事』が典拠に挙げられています。女房詞は、宮中などに仕える女性たちが使った言い換えの言葉です。狂言「おひやし」には、主人が水を「おひやし」と呼ぶのを太郎冠者が上品ぶった言葉だと笑う場面があると、同辞典は紹介しています。
いつ独立した?
精選版 日本国語大辞典は「おひや」について、もとは敬意の高い女性語だったが、江戸時代には単に丁寧な表現として男女に関係なく一般に使われるようになったと説明しています。水の意味での初出の実例には、小杉天外『初すがた』(1900年)の「お冷水(ヒヤ)一杯お呉れな」を挙げています。「おひやし」から「おひや」に縮んだ時期は、現時点で確認できていません。
意味は変わった?
「おひやし」は水全般を上品に言う言葉でしたが、今の「お冷」は主に飲食店で出される水を指します。飲み物がわかる辞典は、「冷や」を飲食店などで出す水とし、「おひや」の形で使うことが多いとしています。宮中の言葉づかいが、店で客に出す一杯の水という特定の対象に絞り込まれたと言えます。なお、精選版 日本国語大辞典は冷えた御飯を指す「お冷」も挙げていますが、こちらは「冷御膳(ひやごぜん)」の略で、別の成り立ちです。
今はどう使われる?
「お冷ください」「お冷のおかわり」のように、飲食店で水を頼むときに使われます。店員の側から「お冷をお持ちします」と言うこともあります。家庭で水を飲むときに「お冷」と言うことは少なく、店で出される水を指す言葉として使い分けられていると考えられます。
なぜ定着した?
精選版 日本国語大辞典が説明するように、江戸時代には丁寧な言い方として一般に広まっていました。客に出す水を丁寧に呼ぶ必要がある飲食店の場面と相性がよく、「水」よりも柔らかい呼び方として残ったと考えられます。
元の意味と今の意味
「おひやし」は、水、とくに飲み水を指す女房詞(宮中などに仕える女性が使った言葉)。接頭語「お」に「冷やし」が付いた形で、精選版 日本国語大辞典は16世紀前半ごろの『大上臈御名之事』を典拠に挙げる。一方、デジタル大辞泉は「冷や」を「冷や水」の略とし、その例に「お冷や」を挙げており、どの語からこぼれたかについて辞書の説明は一致していない。
- 飲食店で出される水「お冷ください」「お冷のおかわり」のように、飲食店で客に出される飲み水を指す。飲み物がわかる辞典は「冷や」を飲食店などで出す水とし、「おひや」の形で使うことが多いとしている。
- 冷たい飲み水精選版 日本国語大辞典が挙げる、おもに冷たい飲み水という意味。
- 冷えた御飯精選版 日本国語大辞典が挙げる別の意味。「冷御膳(ひやごぜん)」を略して「お」を付けたもので、水の「お冷」とは成り立ちが別。
タイムライン
- 1500年代精選版 日本国語大辞典は、水・飲み水を指す女房詞「おひやし」の典拠として『大上臈御名之事』(16世紀前半か)を挙げる。
- 1900年「おひや」(水)の用例。精選版 日本国語大辞典は小杉天外『初すがた』(1900年)の「お冷水(ヒヤ)一杯お呉れな」を初出の実例として挙げる。
用例
すみません、お冷をもうひとつください。
作例・飲食店で出される水席に着くと、すぐにお冷が運ばれてきた。
作例・飲食店で出される水
関連するこぼれことば
出典
- 「御冷(おひや・おひやし)」(精選版 日本国語大辞典)コトバンク(小学館)(2026-10-09 閲覧)
- 「冷や(ひや)」(デジタル大辞泉・飲み物がわかる辞典)コトバンク(小学館・講談社)(2026-10-09 閲覧)
- 「冷水(ひやみず)」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)コトバンク(小学館)(2026-10-09 閲覧)